負けてほめられるのはもうイヤ。ベルマーレの美しい形は変貌している (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 高い位置でボールを奪い、次々と選手が湧き出るように飛び出し、一気に攻め切るという従来の特長は残しつつも、自らボールを保持して、パスをつなぎながらでもチャンスを作る。そんな変化は、すでに昨季J2での戦いのなかでも、はっきりと見て取れた。

 そして今季、湘南の新たな挑戦は、J1でも確実に成果を挙げている。

 8月11日に行なわれたJ1第21節、ホームでの横浜F・マリノス戦。結果から言えば、湘南は0-1で敗れた。

 試合序盤、湘南はハイプレスからのショートカウンターが効果的に決まり、何度も決定機をつかんだ。

 ところが、湘南が数々のチャンスを生かせずにいると、試合の流れは次第に横浜FMへ。後半48分、横浜FMは湘南のプレスをいなすように、1本のロングパスでDFラインの裏に抜け出したMF天野純がゴール前へクロスを入れると、これをFWウーゴ・ヴィエイラが頭で押し込み、先制。横浜FMが、このまま逃げ切った。

 攻勢の時間帯で、湘南が先に1点でも取っていれば、ワンサイドゲームになっていたかもしれない。そんな内容の試合だったが、結局、湘南はいいサッカーをしながら、勝つことができなかった。その意味で言えば、もはや見慣れた試合である。

 しかし、同じ「いいサッカー」でも、そのレベルは間違いなく変わってきている。曺監督はこんな表現で、湘南の確かな進歩を語る。

「(普段の)練習では、守備の練習はほとんどせず、9割攻撃の練習をしているが、こういうことができればいいなということに対して、今までは0.5歩進んで2歩下がるという感じだったのが、ここ最近は試合ごとに2歩、3歩と進んでいる」

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