三竿健斗は足りないものを求めて「ギラギラした姿勢で練習した」 (6ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

――鹿島で試合に出るための準備期間だったんですね。

「自分に足りないものを補う時間に使えました。試合をスタジアムの上から見て、戦術や人の動きを見ながら、自分の能力をあげる時間にもなりました。それに控えチームが強いときって、本当にチーム自体が強いんですよね。2016年は、紅白戦をやっても、控えのチームが勝つことが多かったし。それは『スタメンで出てやる』という気持ちや気合が入っていたからだと思います。(鈴木)優磨は当時、ベンチ入りし、途中から試合に出て、点も決めていた。あいつの『やってやろう』という感じは、僕にはまだ足りないものだなと思っていました。だから、自分もギラギラした姿勢で練習していたし、それが試合出場に繋がった。出られていない選手が、なんで出られないんだという悔しさを、ぶつけることは大事だと思います。現状を理解しつつ、でも、俺を出せっていう気持ちも持たなくちゃいけない。理解できていないと、ただの不満にしかならないから」

――ワールドカップロシア大会の最終メンバー選考合宿に招集されましたね。連戦を経て、膝の負傷もあったなかでの選出でした。

「コンディション的にはよい状態ではなかったですけれど、呼んでもらえたのだから、痛いとか言っている場合ではなかったですね」

――それでも、メンバー入りは果たせませんでした。

「メンバーに選ばれることを目標にしていたので、悔しかったです。でも、よくよく考えたら、自分はワールドカップの半年前に初めて代表に呼ばれた。J1で試合に出られるようになったのは、その半年前。鹿島で1年通して試合に出られてなかったことを考えたら、頑張ったなという感じもあります」

――次のワールドカップへ向けた4年間がスタートしましたが、ワールドカップというのは三竿選手にとってどういう大会なのでしょうか?

「現在の僕にとって、結構重いし、大事な大会です。ワールドカップに出るために、そこで仕事をするために、いうのは、いつも考えていることだから。ワールドカップでチームを勝たせる選手になること、活躍したいから、海外でプレーしたいという気持ちもあります。でも、ワールドカップでプレーすれば、自分の足りないものを痛感できるだろうし、そこで活躍することが、欧州チャンピオンズリーグ出場が当然というクラブに所属するチャンスになるだろうし。だから、ワールドカップは一番でもあるけれど、一部でもある......難しいところですね」

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