イニエスタが超一流である「証」は、ボールを持っていないときに見える (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 大島に限らず、FC東京の久保建英のような若手が、イニエスタと一緒にプレーして成長していけば、それは神戸のサッカーが魅力的になるだけではなく、日本サッカー全体の発展にもつながっていく。イニエスタの年俸32億円に比べれば、彼らの移籍金の金額は大きくない。それだけに、神戸の三浦淳寛スポーツダイレクターには、本気で大島の獲得を考えてもらいたい。

 また、もうひとりの注目のJリーグ新加入選手、鳥栖のフェルナンド・トーレスは、降格圏争いの真っ只中にいるチームの起爆剤になれるか注目の存在だ。ただし、チーム状況を考えるとフラストレーションを溜めこんでしまう可能性もある。

 鳥栖は中断期間中にFWヴィクトル・イバルボが全治7カ月のケガをしたこともあって、豊田陽平をKリーグの蔚山現代から呼び戻し、金崎夢生を鹿島アントラーズから獲得した。ただ、このFW偏重の補強にはやや疑問が残る。

 トーレスを生かすなら、パスを供給できる中盤の選手も補強すべきだった。マッシモ・フィッカデンティ監督のスタイルである堅守速攻で、トーレス、金崎、豊田が生きるパスを出せる選手が増えないと、宝の持ち腐れになってしまう。

 その鳥栖と降格圏を争う名古屋グランパスとガンバ大阪は、中断期間中の残留に向けたそれぞれの対応に差があった。

 今シーズンの名古屋は開幕から2連勝した後は黒星が続き、2勝3分10敗で勝ち点9の最下位で前半戦を終えた。風間八宏監督の体制を刷新する選択肢もあったと思うが、「風間サッカー」を根付かせるのは時間がかかり、選手のクオリティが必要。そのことをクラブが理解を示し、全面的なサポートに乗り出した。

 最大の課題だったDF陣には、CBに中谷進之介(前・柏レイソル)、丸山祐市(前・FC東京)を獲得し、左SBに金井貢史(前・横浜F・マリノス)、ボランチにエドゥアルド・ネット(前・川崎)を獲得。前線に前田直輝(前・松本山雅FC)を加えた。

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