崖っぷちガンバ。「最大限の力を注ぐ」ツネ様の進撃はこれから始まる (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「第17節までの戦いを振り返ったときに、明らかに失点が多く、そこから全体のバランスが崩れていると感じていたので、鹿島戦までの3日間では、まず"守備"の立て直しに取り組みました。そうした働きかけに対して、選手の理解も早く、それをピッチでしっかり体現するんだという強い決意で臨んでくれました」

 守備と同時に変化が見られたのが、攻撃だ。クルピ前監督が理想とした「自由度の高い攻撃」は本来、選手の個性が存分に生かされることで躍動するはずだったが、勝てない事実が焦りを生んだのだろう。選手に与えられていた"自由"は、いつしか"自分勝手"へと形を変え、いつまでたっても連動が見られなかった。

 事実、最近の試合では個人技で勝負しようとする姿ばかりが目立っていたことから、宮本監督はその部分にもテコ入れを行なって「勝負を急ぎすぎない攻撃」を求めた。

「これまでは(2トップの)アデミウソンとファン・ウィジョがボールを受けると、周りを待たずにふたりだけでガガッと前線に攻め上がってしまい、結局はボールを失って攻め返されることがほとんどでしたから。フィニッシュまで持ち込める可能性は、50%にも満たない状況にあった。

 その反省から、ボールを奪ったあとは、相手陣内に侵入するくらいのエリアまで、まずは『しっかり中盤の選手を絡めながら、安定してボールを運ぶこと』を求めました。それができれば、チーム全体に攻め上がる時間が生まれ、ペナルティーエリアに入っていく人数も、回数も増やすことができる。

 また、丁寧にボールを運ぶことで守備ラインを押し上げられるし、跳ね返された際の守備の準備もできる、と。その姿を示せたのが、鹿島戦の同点に追いついてからの時間帯でした」

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