イニエスタとプレーすると選手は思う「自分は何もわかっていなかった」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「イニエスタ、やばかったっす」

 Jリーグでも、対戦した選手たちが子供のように興奮して言っている。

 イニエスタは、「フットボールそのものに近い存在」とも言われる。周りの選手はアンテナを張り巡らせることで、もしくはその感度によって、「フットボールの神」のようなイニエスタから多くのことを学びとれるに違いない。パスのテンポ、タイミング、強度。そのディテールを感じることで、選手として成熟することができる。

 とくに若い選手は、色に染まっておらず、新しいことを吸収しやすいはずだ。その兆しも見え始めている。

 たとえば、セレッソ戦での19歳のMF郷家友太のプレーは異彩を放っていた。前半から後半途中までは左サイド、後半途中からは右サイドでプレーしたが、サイドで幅を取りながら、深みも出し、起点を作っていた。ゴール前に入っていく感覚にも優れ、逆サイドからのボールを中で合わせるシーンもセンスを感じさせている。そして、右サイドではコンビネーションを使うことで味方のよさを引き出し、プレーの渦を作り出した。

「フットボールを難しくしない」というインテリジェンスが、イニエスタによって研ぎ澄まされ始めているのではないか。

 郷家以外にも、この日、先発した増山朝陽や佐々木大樹ら若い選手たちは感化されるはずで、それはベテランも同様だろう。

「前半は相手に合わせて、プレーのテンポが遅かった」

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