プロ生活23年の明神智和「引退を考えると正直、怖い。というか、不安」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 それに......ここに来て気づいたことですが、長野って規模こそ小さいけれど、もともとスポーツへの関心が高い地域だと思うんです。大都市に比べて日常の娯楽が少ないのも理由だと思いますが、年配の方までスポーツが大好きだし、実際に近所のおじいちゃん、おばあちゃんも、サッカーに対してすごく興味を持っている。日常生活にサッカーやスポーツが溶け込んでいて、『パルセイロを応援して元気をもらっているんだ』と声を掛けてくださる人もたくさんいますしね。だからこそ、その熱をもっと大きくしたい。

 そのためには......同じ長野県の松本山雅FCがステップアップしていくことで人気を高めていったように、僕らもまずはJ2に昇格しなければいけない。そのチャレンジに自分の最大限の力を注ぎたいと思っています」

 かつて、J1でプレーしていたときより近くにファンを感じることが増えたからか、ともすればこれまで以上の熱を込めて、その思いを言葉に変える。

 だが、一方で年齢の数は着実に増え、今年はいよいよ40歳という大台に乗った。すなわち、現役選手としてのキャリアは確実に晩年に差しかかっていることになるが、はたしてその熱はこの先、どこに向かおうとしているのか。彼の中で、いつの日か訪れる"引退"を考えることはあるのだろうか。

「年齢で区切りをつけることはないけど、"引退"について考えていないことはないです。今はまだシーズン中で具体的なことは描けないけど、年末になって、もしもクラブに『いらない』と判断されたら、おそらく決断することになるとも思います。

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