40歳の明神智和が言う「J3の舞台でも、学べるし、成長もできる」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 そう言うと、『J1でやっていた選手でも?』って驚かれるけど、僕はそうは思わない。これは、実際にJ3で戦って感じたことですが、J1とJ3の選手の違いって、結局、精度の高いプレーの成功の確率(の差)だと思うんです。J1の選手なら10回やって8回成功するプレーが、J3の選手は多くてその半分しか成功できない。

 でも、できないわけでは決してないんですよ。だからこそ、そのいいプレーを自分が見逃さなければ、この舞台で学ぶことも、成長することもできる。そこは、自分の意識次第だと思っています」

 明神がAC長野パルセイロに移籍したのは、昨シーズンのこと。それまで所属した3クラブはすべてJ1クラブだったため、一気に2つもステージを下げることになったが、「戦うカテゴリーにはまったく抵抗がなかった」という。自分のなかで決めていた、現役続行のための"3つの要素"さえ満たせば、戦う場所は関係なかった。

「現役を『やりたい』と思う自分の気持ち。『やれる』という自信。そして、やらせてくれるチーム、つまり僕を獲得してくれるチームがあるか」

 過去2度の移籍でも、自分を見つめ直す材料となったこの3つは、今回の移籍でも判断基準となり、それがそろっていたから移籍を決めた。

 とはいえ、不安がなかったわけではない。最初の2つは自分自身と向き合うことですぐに答えが出たが、『獲得してくれるチームがあるか』は自分ではどうしようもないことだからだ。

 事実、近年引退を決めた選手のなかには、そこがネックとなり、ユニフォームを脱いだ選手も多い。さらにいうならば、オファーはあっても、金銭面で折り合わないこともある。

 明神もそこを問わないわけではなかったが、最終的には長野パルセイロがJ3クラブでは数少ない、全選手とプロ契約しているチームだということが決め手となり、移籍を決断した。

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