激変する鳥栖。真価が問われる「トーレス・シフト」の片鱗が見えた (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 しかし、トーレスは間違いなく敵味方の心を動かしている。関与したプレーは多くないものの、プロサッカー選手にサッカーをする喜びを与えていた。

「トーレスは、とにかくうまいっすね。サッカーやってて、面白いです!」

 そう無邪気に語ったのは、鳥栖のFW小野裕二だ。

「まずは、裏に出すっていう感じですね。トーレスはいつも(裏を)狙っている感じなんで。その感覚が(自分と)合うんですよ。(お互いに)無理だなと思うときは(裏へ)走らないで、近くで受けてくれるし。(敵と)並走している感じなら、必ずパスを出すようにしています。(トーレスなら敵に)負けることはないんで」

 予想していたとおり、鳥栖では"トーレス・シフト"が着実に組まれつつある。デビュー2戦目も不発で(0-0と)勝てずに終わったものの、トーレスが戦術、といっても大げさではないほどだ。

「今は、トーレスをプレーさせながらコンディションを上げさせていきたい」

 鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督は説明している。

「トーレスは経験のある選手で、日頃の練習も懸命にする。モチベーションは長所で、笑顔でポジティブにサッカーに取り組める。ただ、2カ月のオフがあって、試合勘の部分ですり合わせが必要。徐々にコンディションを上げ、(彼を落とし込む最善の)戦術を考えていきたい」

 トーレス・シフトの完成はこれからなのだろう。

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