中村憲剛があえて指摘。ロシアW杯で出番ゼロの大島僚太にないもの (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 中村にとっては、南アフリカW杯における悔しい経験が、その後の成長につながる大きな糧となった。大島に期待されるのは、同様の飛躍である。ロシアW杯での悔しさを晴らすためにも、4年後のカタール大会へ向けてリスタートとなるこの日の札幌戦では、大島のプレーぶりが注目された。

 はたしてこの試合で、W杯前の大島との"違い"は見られたのだろうか。中村はこう語った。

「W杯前との違い? う~ん、もともとすげぇからね、あいつは。(W杯に)行く前からすごかったから。何でもできる選手だからね。

 今日は久しぶりの試合だったんで、"自分が"というよりも、前線の選手をうまく泳がしながらやっていた。ただそれは、それだけの余裕があるからできること。W杯前と何が変わったかというと、正直まだわからないけど、あの経験はあいつの今後のモチベーションになるよ。俺がそうだったもん」

 中村が言うとおり、この日の大島は無理をせず、試合での自分の感覚を呼び戻すような感じでプレーしていた。W杯での悔しさをプレーに転化し、凄みを見せるのはもう少し先のことかもしれない。

 大島がロシアで苦しい時間を過ごしていた頃、日本にいた中村はロシアW杯を見て、世界のプレーを堪能していた。そして、いくつもの試合を観戦しているなかで気づいたのは、必ずしもボランチがゲームを作っているわけではないということ。そうしたスタイルは薄れつつあって、ひとつの新たな傾向が見られたという。

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