鹿島一筋12年の遠藤康。「小笠原満男の跡を継ぐイメージはないです」 (5ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――小笠原選手の凄さとは?

「あの人はサッカー選手としてもすごいけれど、人間的にやっぱり素晴らしい人ですごい人なんです。温かいし。人を引き付ける力を持っている。それは人間的な深みや魅力が満男さんのプレーにも表れている。最近、この年(30歳)になって強く思うのは、サッカーにはその選手の人間性がすごく出るんだなということ。軽いプレーをする選手は人間としての軽さがあるし、たとえ軽くてもぶれの無い強さをもった人はそういうプレーになる」

――今季、なかなか勝てなかったなかで、一勝できた名古屋戦後、小笠原選手が『たかが一勝』と言っていたのですが、本当に純粋だと思いました。

「満男さんはたくさん優勝を経験している。満男さんはその『たかが一勝』のためにあらゆることを考え、全力で頑張る。だけど、このチームにいる限り、1回1回、『よし勝ちました!』というふうには言ってはいられない。次の試合も勝たなくちゃいけないから」

――遠藤選手はそういう小笠原選手の跡を継ぐというイメージはありますか?

「ないです。跡は継がない。小笠原満男は小笠原満男だけだから」

――遠藤選手自身が手にしたタイトルの数って覚えていますか?

「少ないと思っていても、10個くらいはタイトルを獲っているのかなぁ......自分では数えたりしないものだからね。また次も、また今年もと、獲りたくなる。チームは1年1年選手の入れ替えもあるから、このメンバーであの雰囲気を味わいたいという気持ちになる。それは試合に出ている選手ではなくて、試合に出られない選手も含めて、このチームでってこと。試合に出られない選手のなかには、自分を抑えて、やっている人がいるかもしれない。でも、そうさせるのが鹿島なのかなとも思うんです。鹿島から出た選手のなかには、『戻りたい』と言ってくれる選手も少なくないし。そこは本当にうれしい。僕自身も鹿島に求めてもらえる間は、ここで力を尽くしたいと思っています」

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