2018.07.14

鹿島一筋12年の遠藤康。
「小笠原満男の跡を継ぐイメージはないです」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

 20歳の田中だけではない。19歳の安部裕葵(ひろき)は先発し、22歳の鈴木優磨は2得点を決めている。そして、今季移籍加入した23歳の安西幸輝のコメントは頼もしい。

「今までも勝ちたいという気持ちでプレーしていたけれど、鹿島の選手たちが持つ『勝たなくてはいけない』という強い使命感を僕も持って毎日やっている。うまくいくこともあるけれど、練習ひとつひとつで悩むこともあります。1個1個勉強しながら。もっとこのチームと自分がシンクロできるようにしたい」

 7月12日には植田直通のベルギーリーグ1部セルクル・ブルージュKSVへの移籍が発表された。

 リーグ戦だけでなく、ルヴァンカップ、天皇杯、そしてACLと前半戦以上の過密日程が予想される鹿島。シーズン後半戦も総力戦が続くだけに、若手の勢いがチームを勢いづけるに違いない。

 鹿島アントラーズのクラブハウスには、応接室やミーティングルームなどと並んで、対戦相手と交換した数々のペナントや優勝したときの集合写真が数多く飾られた部屋がある。そこはよく取材場所としても使用されるのだが、「クラブハウスに飾られたタイトル獲得時の集合写真を目にすると、自然と優勝しなければならないクラブの一員という自覚が生まれる」と岩政大樹さんが話していた。

「僕の映ってる写真って少ないんじゃないかなぁ」

 遠藤はその部屋をぐるりと見渡して、静かにそう言った。

 今やゲームキャプテンを務める機会も増えた遠藤康。2007年の鹿島アントラーズ加入後、最初の3シーズンで出場したリーグ戦はわずかに4試合。それでも諦めることなく鹿島での試合出場にこだわったのは、彼の忠誠心の強さにほかならない。鹿島一筋12年目を迎えた遠藤は「まだまだ上の人がいるから」と笑った。

――試合に出られない時期が選手としての土台作りとして重要な経験になったと話されていましたが、それでも数年間試合に出られないとなれば、移籍を考えることはなかったのでしょうか?

「人それぞれの考え方があるので、出場機会を求めて移籍をする選手を責めるつもりはないし、それはプロとして当然な決断だとは思います。ただ、『鹿島で試合に出られないなら、移籍する』というのは、僕にとっては逃げることになるので、それはしたくはなかった。もちろん、クラブから必要ないよと言われれば別ですが、鹿島からオファーを頂けるのであれば、鹿島以外でプレーしたいとは思わなかったですね。なぜオファーをもらえたのかわからないですけど(笑)。鹿島の強化部は練習もちゃんと見てくれる。だから、僕に限らず、試合に出ていなくても、練習もキチンと評価してくれているんだと思います。そういう環境だったのはありがたいですね」