就任5年目。ジュビロ・名波浩監督は強気に「神様にあらがっていく」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・構成 text by Harada Daisuke
  • photo by Masashi Hara/Getty Images

 あの試合で唯一悔やまれるのは、ギレルメが退場する前に、F・マリノスにPKを与えてしまったこと。あの場面は、キャンプのときから構築してきていたブラインドサイドの中の絞りを、ギレルメが怠った。また、GKのカミンスキーがそこをコーチングできていなかったため、PKを与えてしまった。

"たられば"ですけど、あの場面でギレルメがしっかり戻ってきていれば、その後、ストレスをためて退場することはなかったかもしれない。F・マリノスに対して申し訳ない"事件"を起こすこともなかったかもしれない。

 次の柏レイソル戦(第13節)も2-1で逆転勝利して、チームとしても勢いに乗れる状況ではあったけれど、その後は2連敗。やっぱり人がひとりいなくなるというのはね......。それだけ影響があるというか、他の選手たちも(普段どおりのことをやるには相当な)パワーは必要なんだな、ということをあらめて感じました」

――結局、ギレルメ選手は契約解除。指揮官としては、アダイウトン、ムサエフの長期離脱に続いて、外国籍の戦力をさらに失うことになりました。

「将棋にたとえれば、飛車、角、さらには金、銀まで奪われてしまったような状況。特にアダイウントンがいなくなったことで、FW川又堅碁にかかる負担はかなり大きくなった。ふたりのときはマークが分散していたのが、ひとりに集中してしまうわけだからね。

 これはもう、"神様"にあらがっていくしないなと思った。自分たちは"神様"に見放されているんじゃないかって思ったから(苦笑)。普通ならば、『神様、お願いします』と祈るところだけど、逆に『神様、見ていろよ』という強気のメンタルになりました。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る