リーグ杯を負けた岩政大樹は妻の前で号泣。「あのとき覚悟が決まった」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko  井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

    ――チームを勝たせられる選手とは?

「どんなにうまくてもチームを勝たせられない選手もいますからね。勝つ、勝たない。それを分けるのは厳しさだと思います。勝ち続けるためには、全員が同じモチベーションでいることが大事です。

 でも、10数人の選手が常に同じだなんて、ありえない。少しはみ出そうな選手をどう巻き込んでいけるかが大事になってくる。そのためにはまず自分への厳しさが大前提としてあり、同時に周囲を巻き込める力のある選手でいることが重要だと思います。そうすることで、組織としての厳しさが生まれる。そういうチームが強いんです」

――はみ出しそうな選手を巻き込み、まとめるという意味で、どんな気遣いをしましたか?

「練習でミスが続く選手がいたとして、その選手をどうやってこちら側へ引き込むのかを考えるとき、手を差し伸べるだけではダメだし、肩を叩くように横へ並ぶとか、厳しく言うことだとか、いろいろあります。その選手の性格や状態、状況に合わせて、それを選ぶという感じですね、ひとつのやり方一辺倒ということはありません。だから、『お前も厳しくやれ』と叱咤するだけでは、組織としての厳しさは生まれないと思っています」

――そうやってチームをまとめること、90分間の試合だけにはとどまらない行動や振る舞いも含めて、チームを勝たせる選手には求められるということですね。

「勝つためには継続性が大事なんです。流れがよいときも悪いときも、同じ姿勢でやり続けるベースがなければダメだと思います。毎日、歯を磨くことと同じです。小さなことの積み重ねかもしれないけれど、ちゃんと怠らずにやる。当たり前のことを当たり前にやるという意識が乏しいチームは強いとは思えないんですよね」

――今、いろいろなフィールドでサッカーと関わってらっしゃいますが、現在、今の岩政さんにとって、鹿島アントラーズでの現役時代はどういう時間でしたか?

「うーーん、本当の意味の挑戦ができた場所でしょうね。僕はサッカー選手という仕事がずっと嫌いだったんです」

――えっ? そうなんですか?

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