齋藤学は思った。「4万人のブーイングも、きっと自分のプラスになる」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

 追いかけてきたワールドカップへの出場は叶わなかった。ケガからの復帰は遂げたが、満足のいく結果は残せていない。それでも......。

「結果的にワールドカップに出場することはできませんでしたけど、そこを目指す気持ちがあったから、僕は早くケガを治そうと思うことができた。そのために努力を続けることができたんです。先ほども言いましたけど、だから、すべては無駄ではなかったし、プラスになっていると思うんですよね。リハビリをしているなかでも学んだんですよ。1日1日の積み重ねが大事だっていうことを。

 ワールドカップに出場できないことは悲しいし、残念でしたけど、やっぱり、あそこはサッカー選手ならば誰もが目指す場所だと思うし、もう一度、目標を立てて、もう1回、日本代表に入れるような選手になりたいなって思う。言い訳に聞こえるかもしれませんけど、死なないかぎり、僕の人生も、サッカー人生も続くわけで、今はこのチームで、フロンターレでタイトルが獲れれば、またその経験が自分に生きてくると思うんです。ワールドカップで中断するこの2ヵ月で、もう一度、コンディションを作り直して、チームを勝たせられるように、自分自身のパフォーマンスを上げていきたい」

 すべてをかけてきた。そのために過酷な日々にも耐えたし、大きな決断もした。悔しい思いは簡単に消えることもなければ、色褪せることもない。

 ただ、その痛みが、その苦しみが、選手として、人間として、齋藤をひとまわりも、ふたまわりも、大きく、強くした。サッカー選手である以上、そこに終わりはない。次の4年はもう始まっている――。

◆齋藤学が明かす電撃移籍とW杯落選。「今なら話すことができます」>>>

◆エースの座からサブへ。傷心の中村俊輔を救った川口能活の存在>>>

◆中田英寿と本田圭佑。2人は中村俊輔にとって、どんな存在だったのか>>>


4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る