ヴェルディの指導者が名門ソシエダで学んだ「クラブ哲学とメソッド」 (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 例えば試合だけを見て、いい試合と悪い試合があって、それを評価対象にしてしまうことがありますよね。現場からすると、本当は練習での成果がこういう形で出ていたのに......というのがあるのですが、そこまで評価対象にならなかったりする。でも、本来であれば、普段の練習でこういうことをしたから週末のゲームがこうだった、というのをちゃんと整理しないといけないはずです。指導者は1日1日、経験を積んでいるけど、選手としては時間が減っていっているのですから」

――それは新鮮な話で、日本でも必要な考え方ですね。

「もちろんヨーロッパもスペインも、日本より進んでいるかといえば進んでいます。ただ、自分たちがやってきたもののすべてを変えるべきではなく、改善すればいいこともたくさんある。要は、いいとこ取りをしたいなと思います。僕は今、何を知らなきゃいけないか、日本人にとって何をしたらいいかを、しっかり考える時間を与えてもらっている。僕個人としても、性格的にもあれもこれも知りたいというところがあるのですが、そのなかで日本にとって必要なことを整理して帰りたいなと思います」

――例えば、育成のメソッド部門を置きたいと思います?

「必要だと思えば置くけれど、まずはちゃんと日頃の活動を評価できる人を置くべきではないかと思います。責任の在りかを明確にするというか。トップチームの責任者が何によって責任を取るかといったら、結果、順位ですよね。では、育成は何が結果なのか。全国大会で勝つことか、トップに送り出す人数なのか。それは判断が難しいし、1~2年のスパンでは何も言えなかったりする。

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