中学時代、150万円稼いだ
元ヴィッセル田中英雄はJFLでも笑顔で

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 それは、2016年4月14日に発生した熊本地震の際にも強く心に誓ったことだ。当時、いてもたってもいられず、震災からわずか10日後に現地に足を運んだ田中は、巻誠一郎(ロアッソ熊本)らとともにサッカー教室に参加。再び"熊本"に大きなパワーをもらったと振り返る。

「足を踏み入れた熊本に、かつての面影はなく、本当に大変な状況だったけど、現地の人たちは下を向くこともなく、すぐにファイティングポーズをとって前に進もうとしていました。その姿に、僕自身がパワーをもらったし、だから2016年9月に前十字靭帯断裂の大ケガをした際も、まずは自分がファイティングポーズをとらなければ、と思えたんだと思います。

 そんなふうに幼少の頃から常に熊本に支えられ、多くを学んできたからこそ......いつか、熊本に戻ってプレーをしたい。『恩返し』という言葉ではきれいすぎるけど、親戚や友人、お世話になったすべての人に、元気にプレーしている姿を見てもらいたい。いつか、それを実現するためにも、今は宮崎の地で毎日を全力で戦い続けたいと思います」

 とはいえ現在、35歳。現役選手としては、キャリアの後半に差し掛かっていることを思えば、目標実現のために残された時間はそう多くはない。はたして、彼はその"いつか"に期限を設けているのだろうか。

「漠然とですが、40歳までやれたらいいなとは思います。もちろん、そのためには思うように動く体と、『まだ戦える』という自信があることが大前提ですけど。だから今はとにかく、毎日を精一杯で戦って、やり切った先に何が見えてくるのかを待とうと思います」

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