永井秀樹、ユース監督2年目。あの前橋育英を撃破した理想のサッカー (3ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

高校日本一を相手に貫いた
自分たちのスタイル

 4月14日、プリンスリーグ第2節。

 永井ヴェルディユースはホームに、今年の正月、高校選手権で全国制覇した前橋育英高校を迎えた。

 前橋育英を率いる山田耕介監督は、永井にとっては同じ恩師を持つ。高校サッカー界の重鎮、小嶺忠敏監督(現長崎総合科学大学付属)に学んだ、小嶺門下の先輩と後輩という間柄でもあった。

 試合直前、永井にそのあたりは意識するか聞いた。

「自分も前橋育英を高校日本一に導いた山田監督と対戦できることをすごく楽しみにしていた。お互い、自分たちのスタイルを貫いて、観客を魅了、感動させることのできるサッカーがしたい」

 永井はそう言うと、選手たちの待つピッチへと向かった。

 ヴェルディユースは序盤から積極的に攻撃を仕掛ける。相手にボールを与えず、テンポよく小刻みにパスを繋いでリズムを作ると、コンパクトな陣形でラインを高く敷いた前橋育英のディフェンス陣の裏を効果的に突いた。

 前半7分、キャプテンで世代別代表の常連でもある森田晃樹(3年)の左からのショートコーナーを、永井が「日本サッカーの宝になる」と言う、同じく日の丸を背負う山本理仁(りひと/2年)が折り返す。それを再び森田が預かると、最後は右足で豪快にミドルを決めて先制点を奪った。

 さらに3分後、今度はディフェンダーの三浦雅人(3年)が右サイドを突破して再び森田へと繋いで2点目を挙げた。

 ヴェルディユースはその後1点を返されるものの、攻撃の手を休めることなく、さらに1点を追加。終了間際に1点を奪われ、前半を3-2で折り返した。

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