信念を貫き3位。ペトロヴィッチの札幌に、福田正博はロマンを感じる (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 たとえ苦しい戦いが続くことになっても、クラブやサポーターは長い目でチームを支えてもらいたい。今シーズンだけではなく、数シーズン先も「試合をまた観たい」と思わせるチームを作るには、「結果」だけではなく「内容」も重要になる。

 しかし、その両方を追い求めることは極めて難しく時間もかかるため、内容よりも結果を追い求めるクラブが多いように感じる。

 それに対して札幌は、現役時代にジェフ市原や札幌でプレーしていた野々村芳和社長が、この困難さを理解した上で2013年からの改革に乗り出したはずだ。途中でJ2に落ちることがあったとしても、長いビジョンでペトロヴィッチ体制を支えていってくれると信じている。

 ペトロヴィッチ監督のこれまでの実績を見れば、「内容」を向上させる手腕に疑いの余地はない。今季の札幌の試合を見たサッカーファンの多くは、躍動感があって攻撃的な札幌のサッカーに魅力を感じているだろう。

 一方で「結果」に目を向けると、ペトロヴィッチ政権時の広島や浦和が、掴みかけていたタイトルを逃してきたことも事実だ。それでも、内容を充実させながら結果を残す困難さを誰よりも知りながら、これまでの教訓を生かし、札幌という地で大輪の花を咲かせようとするペトロヴィッチ監督の姿勢に夢を感じる。

 今シーズン、そして数シーズン先まで、札幌がどんなサッカーを見せてくれるのか。長く内容と結果が残せるチームへと成熟して、熱烈な応援で知られるプロ野球・北海道日本ハムファイターズのような、さらに地元に愛されるクラブへと成長してくれることを期待している。

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