10戦無敗→3連敗。ヴェルディはダメか...の声にスペインの名将は? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「ヴェルディは10戦無敗できたから、負けたことをどうしても消化できていない。ただ、これはなにも、日本のクラブに限ったことではないよ。世界中、どこのクラブでもある話さ。メンタル面が影響するスポーツだからね」

 そう説明したのは、スペイン人FW、カルロス・マルティネスだ。

「(連敗中に)今日のように先制されると、どうしても後手に回って厳しくなってしまう。Jリーグは後ろに人を揃えて守るし、プレスも速いからね。ただ、悪い時期というのはどこでもあるものさ。下を向かず戦い続ける、それだけだよ」

 戦力を考えれば、ロティーナ・ヴェルディは十分に健闘している。

「スペインのようなクロッサー(サイドアタッカー)がいない」

 ロティーナはそう語る一方で、マイナス面に目を向けるのではなく、日本人の敏捷性や規律正しさ、両足を使えるテクニックなどを活かすやり方も見つけている。そのため、システムもこだわらない。「選手ありき」という柔軟さが奏功してきたのだ。

 自分たちを信じ、雄々(おお)しく戦えるか。このような不振を克服することで、真の強さは身につくはずだ。

「自信を回復する方法? それはひとつだけだよ。物事をシンプルにすること。難しくしない、難しく考えない。日々のトレーニングがすべてだから」

 別れ際、ロティーナは笑みを浮かべながら言った。実直な発言が、派手さを好まぬ彼らしい。

 スペイン時代から「堅守」が代名詞だったが、それはポジションを整備することによって生まれたもので、単なる人海戦術ではない。「守備において正しいポジションを各自が取れたら、必ずそれは攻撃にも恩恵をもたらす」という信条である。

 コツコツと積み上げる。そこにロティーナ流の眼目(がんもく)はあるのだ。

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