「ジーコの負けず嫌いはハンパなかった」。
本田泰人はその魂を継いだ

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko  井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

遺伝子 ~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(11) 
本田泰人 前編

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 5月2日、V・ファーレン長崎をホームに迎えた鹿島アントラーズは、前半4分に鈴木優磨のゴールで、先制点を獲得したものの、18分に同点弾を許してしまう。30分に金崎夢生が追加点となるPKを決め、勝ち越すことができたが、後半は長崎に押し込まれる時間が長く続いた。それでも得点を許さず、試合終了を迎え、4試合ぶりの勝利を飾った。

「ものすごく時間をかけて話し合い、練習でもコミュニケーションをとってきたなかで、今日は自分たちがやりたいようにやれた部分もあったけれど、失点もそうですし、やられる部分もあった。押し込まれる時間帯というのは、今までもたくさんあった。そういう時間帯でも、自分たちがどっしりと構え、無失点でやってきたという自信が僕らにはある。それを取り戻すというか、そういう戦い方もできるようにしたかった。

 そういう意味で、今日の後半だけを見れば、あれだけ押し込まれても失点がなかったのは、良い点だったと思う。もちろん、改善するところも出てきたので、そこを修正し、もっとレベルアップしたい」

 植田直通が試合をそう振り返った。

 4月28日の対横浜F・マリノス戦で、0-3と敗れたあと、大岩剛監督は「継続しなければいけないことと、守備面でやり直さなくちゃいけないことがある」と語っている。アウェー戦では、4月21日の川崎フロンターレ戦でも4失点を喫していることを考えれば、守備の修正は当然のことだろう。

 そういう意味では植田の言葉通り、長崎戦の後半は相手にボールを持たれても、慌てることなく、守り切れた。しかし、三竿健斗は「後半はラインが下がってしまい、プレスにいけないところもあった。主導権を握った守備をしなくてはならない」と語っている。

 久しぶりの勝利となったが、選手たちに安堵感は見られなかった。今季ホームでは負けていないが、アウェー戦では未勝利という現実は変わらない。

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