「断トツの降格候補」ではなかったV・ファーレン長崎、大健闘のわけ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 再び1点をリードされて迎えた後半にしても、長崎は果敢に攻め続けた。サイドに起点を作り、鹿島ディフェンスを横に広げ、間を突く。そんな意図のある攻撃を再三繰り出した。盤石の逃げ切りを図る鹿島の前に、ボールを持たされていたわけではなかった。

 結果的に敗れたこともあり、高木監督は「自分たちがボールを持つ時間が長くなったが、攻撃に変化をつけられなかった」と厳しい自己評価だったが、スタンドの記者席からは、長崎の攻撃力――取られたら取り返す――を示すには十分な試合内容に見えた。

 ところが、である。試合を終えた選手から聞かれたのは、少々意外な言葉だった。

「こういう(点を取り合う)展開はうちの試合ではない」

 今季2試合目の先発出場で同点ゴールをアシストした米田が語る。

「スコアレス(0-0)の状態が長くなれば、うちにチャンスが出てくる。先制されても追いつけたことはよかったが、それよりも相手を長くゼロに抑えて、どこかで点を取ってしのぎ切るというのが自分たちの流れだと思う」

 GK徳重健太も、「0-0の時間が長く続くと、うちの試合になることが多い」と語っているように、長崎は第7節から第10節までの4連勝中、わずかに1点しか失っていない。うち2試合は1-0での勝利である。

 対照的に、負けた6試合のうち、5試合で2点以上を失っている。なるほど、長崎の勝ちパターンははっきりしている。

 とはいえ、第12節終了時点での長崎の総得点15は、J1全18チーム中7位タイ。それほど得点力が低いわけではない。それは、鹿島から奪った鮮やかなゴールを見ても明らかだ。堅守頼みで勝ち点を拾ってきたチームでないことは、数字も裏づけている。

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