浦和レッズと現実主義者オリヴェイラ。「とにかく勝つ」で思惑が一致 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 浦和は「プレーを作る」というディテールでは川崎Fに劣っていたが、ゴール前で「仕留める力」は負けていなかった。エリア内での攻防で優(まさ)ればいい。そう割り切れるだけのふてぶてしさがあった。

 後半に入った50分も、川崎Fの間隙を突く。橋岡大樹のダイレクトスルーパスに、アンドリュー・ナバウトが川崎のオフサイド崩れで抜け出し、中央へのクロスを再び興梠が押し込んだ。非常に効率のいい攻撃だった。

 浦和は狙っていた「縦に速い攻撃」に成功。その後もカウンターで川崎Fの背後を脅かした。70分には、自陣から興梠が送ったDFラインの背後へのパスに飛び出したナバウトがGKチョン・ソンリョンに倒され、退場に追い込んでいる。

「パス1、2本(のカウンターで)でひっくり返されるようなシーンも出ていたが、怖がらずにやり続けるのが大事だった。自分たちとしては、もっともっと背後を狙うプレーが必要」(川崎F・鬼木達監督)

 浦和は10人になった川崎F(しかも交代枠を使い切った後だったのでGKはDF奈良竜樹に)に攻められ続けたものの、自陣エリアに相手が近づけば近づくほど、いやらしいほどソリッドな一面を見せた。GK西川周作を含め、ハリルジャパンのメンバーをずらりと揃えた最終ラインは、目の前に迫る敵を力強く跳ね返し続け、ゴールの門にかんぬきをかけた。

「後ろは5人(DFが)揃っていた。中盤は前から(プレスを)、というのはあったんですが、ミスマッチもあったので......。最後のところでやられなければ(いい)、というのはありましたね」(浦和・DF遠藤航)

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