2018.04.29

J2京都に恐怖の「魔神」がいた。
降格圏に沈むチームを10分で救う

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 そこでこの日、京都は前半、4-4-2を採用している。2トップにスピードがあって、背後にランニングできる選手を起用。相手のラインを下げる狙いで、早めにクロスを入れ、ボールを失うリスクを回避していた。

 もっとも、ボールを前に運ぶところでのミスはやはり多かった。つっかけられ、ボールを失い、ファウルをし、自陣でセットプレーを与える。そして波状攻撃を受け、いたずらに危ういシーンを増やしていた。

「セットプレーのシーンでは、みんなが集中して守れていた」(京都・FW岩崎悠人)と言うように、どうにか失点は防いでいたものの、じりじりと消耗する状況だった。

後半に入って4-3-3にシステムを変更。中盤を厚くしてボールを握る力を強めようとするが、戦況は好転しない。

 すると、優位に立っていた水戸はさらに攻勢を強めた。後半はクロスのヘディングやミドルシュートなどで好機を増やし、ゴールの予感が濃厚に漂った。

「点を取るところまでは非常に流れがよく、プレーの長所も出せていた」(水戸・長谷部茂利監督)

 77分、左右からの攻撃で揺さぶった後だ。右サイドからクロスを打ち込み、クリアされるもまた拾い、エリアに入ったところで京都のDFが慌てて手を出し、PKを拾う。この日、躍動していたFW岸本武流がこれを豪快に蹴り込んだ。

 水戸は勝利を確信したに違いない。

 ところがその1分後、1人の選手の投入で試合は一変した。

 FWレンゾ・ロペスに代わって登場した田中マルクス闘莉王は、前線で群を抜いた存在感を見せた。