「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」
と言い切るレオシルバの真意

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

    ――競争に勝つために大切にしていることはなんでしょうか?

「ほかの人のまねをして、自分にできないことをやろうとしても、失敗してしまうと思うので、自分の持っている武器、特長を最大限に発揮すること。本当に全力でその力を出しきることが大事だと思っています。そうすれば、自分の強みを発揮し、チームの手助けができるから。競争に勝ち、レギュラーを勝ち取りました。でもそこで終わりじゃない。そこで、慢心してしまうと、後退してしまい、成長のない状況になってしまう。常に最大のパフォーマンスに全力を尽くすことが大事です。自分の持っている特長、武器を最大に発揮することです」

――ライバルには小笠原満男という存在もいます。

「(微笑みながら)彼は私にとって、非常にいいお手本であり、見本です。私自身が、39歳になっても、あれだけのやる気を持って日々戦えるのかと思うこともあります。実際、滅多に練習を休まない。あの年齢で毎日ずっと練習に出続けるなんてすごいことです。身体の痛みを感じたり、多少、やる気がなくなって、練習に出たくないとか、休みたいって思ってしまうことがあっても、おかしくはない。でも、彼はそういう態度を一切見せないんです。

私自身も正直、30代になって、歳をとったなと感じることもあります。若い選手も多いですからね。だけど、上には上がいるんだなと刺激になります。自分も彼の年齢になって、プレーできる状態であれば、彼のようにお手本、見本となる人間、選手になりたいですね」

――ジーコに限らず、ジョルニーニョなど、多くのブラジル人選手がたくさんの影響を日本人選手に与えてきました。

「日本に来たときから、かつてのブラジル人選手のように、お手本になれたらということは考えてきました。鹿島には小笠原さんのように、僕にとってのお手本になる選手もいるけれど、自分も30代ですし、社会的にももう子供ではないし、周囲の見方も変わってくる。30代としての振る舞い、選手として、人間としてのお手本になりたい。キャリアの最後を迎えたとき、タイトルを獲るだけでなく、よいお手本だったと言われるようになれればいいなと思っています」

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