「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」と言い切るレオシルバの真意 (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

 剛さん(大岩監督)に呼ばれてフロンターレ戦のあとにふたりで話した。短い時間だったけど、『僕ら試合が終わったあと、メシ食いながらこんな話をしたんですけど、どう思いますか?』って。今は監督と選手だけど、今までチームメイトとしてやってきたからね。話やすい空気はある。フォーメーションを変えて、特に攻撃の部分で噛み合わなかったところがよくなったと思う。

 我慢する時期だとは思うけれど、ただじっと我慢するんじゃなくて、いろいろ試行錯誤しながら、だんだんよくなっていくんだと思う。これが正解かはわからないけれど、ひとつのヒントにはなったはず。今日は勝てなかったけれど、戦い方としては光が見えたのかな」

 攻守にわたり、チームに落ち着きをもたらした遠藤は淡々と語った。

「グラウンドの中で感じたこと、時には厳しいことも言わなくちゃいけないし、たとえ(自分が)ミスをしたとしても鼓舞しなくちゃいけないし、チームにとって必要な声をかけようと思っていました。選手一人ひとりの意識が、勝ちたいというのが表に出た結果だと思う。

 みんな頑張っているなかで、それが同じ方向に向けた。でも、ホームで勝てなかった。うちは勝たなくちゃいけないチームだし、優勝しなくちゃいけないチームだから。それをもっともっと追求して。プライドをもってやってほしい」

 この日は遠藤だけでなく、レオシルバも復帰している。苦境一転するほど、今の状況は生易しくはない。それでも、わずかであっても自信を取り戻すきっかけになったのかもしれない。そんな引き分けだった。しかし、中2日で今季未勝利のアウェー戦(28日、横浜FM戦)が待っている。

*    *    *

 2013年、アルビレックス新潟でJリーグでのキャリアをスタートさせたレオシルバ。そのボール奪取率の高さと豊富な運動量で活躍し、2017年に鹿島アントラーズへ移籍したボランチは、真面目で負けず嫌いな性格もまた魅力とされている。取材中も日本語に訳されている間、取材者の顔をじっと見つめる。その姿から彼の純粋さが伝わってきた。

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