また負けたガンバ。ダービー勝利の勢いが続かない「個」頼みのクルピ流 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 築田純/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 ただ、ガンバは結局、攻めきれていない。ボールは支配したものの、決定機は湘南のほうが多かった。シュート数は16本対3本。1-0という最少失点の敗北は、幸運だった、と言うべきだろう。

 前半と後半の落差は、チーム戦術が浸透していない証左だろう。戦術という基本的な形、原則が定着していないことで、各選手がフィーリングでプレーしている。感覚が合えばうまくいくし、個人でも圧倒できるのだが......。

 そこにブラジル人監督の功罪があるかもしれない。

 クルピ監督はセレッソ大阪監督時代、香川真司、乾貴士、家長昭博、清武弘嗣、柿谷曜一朗、南野拓実など、多くの攻撃的選手の才能を引き出した人物である。今回も、17歳のFW中村を抜擢するなど、その持ち味は十分に出している。ブラジル人監督特有なのだろうが、自由を与えることと引き替えに閃(ひらめ)きを要求する。戦術に縛られないことで、選手は直感的プレーを爆発させることができる。

 その点、名伯楽と言えるだろう。

 しかし、クルピは「個」を旋回の軸にしているだけに、選手の質に左右されるところが多分にある。組織としては自由度が高すぎて、チームの安定にはつながらない。やや攻撃の選手の感覚に偏りすぎるというべきか。

「(もどかしさを)変えていくのは選手しかない。置かれている状況を整理しながら。もっとやらないかんのは自分自身だと思っているんで」(G大阪・MF倉田秋)

 今後、選手同士のコンビネーションが噛み合う時間が増え、才能があふれ出すのか。あるいは敗れ続けることで自信を失い、このまま転落するのか。クルピ・ガンバは、岐路に立っている。 

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