小林悠、大島、杉本...ハリル解任で
J戦士のW杯チャンスは増えたのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 川崎FではMF大島僚太(25)も、代表に入らなければおかしい。大島はボールを握って失わない。その強度に関しては、海外組も含めて日本人ナンバー1。ターンで相手を置き去りにし、ボールを持ち上がれるし、四方が見えるのでほぼ捕まらない。セレッソ戦も、川崎Fの攻撃の渦は彼を中心にできていた。もっとも、2失点目は明らかにその球際での甘さから生まれたもの。高いレベルの試合でパーソナリティーを出せるか。

 パーソナリティーという点では、大久保嘉人(35)は存分に出せる。動物的な感覚でスペースと時間を支配するプレーは、今もJリーグ随一だろう。セレッソ戦では、左サイドで相手選手を釣り出し、入れ替わって持ち出してのスルーパスを見せている。ダイレクトパスを多用し、プレースピードに関しては川崎Fのチームメイトより少し速いものをイメージしている。

 セレッソ戦はひとつポジションを下げてパサーに回って好機を作り出していたが、大久保の怖さはゴール近くで仕留める、もしくはその直前のプレー。そこを託すなら3度目のW杯もない話ではない。

 そして途中出場した瞬間、ピッチの空気を一変させたのが齋藤学(28)だ。左サイドで幅を作って相手を引きつけると、中の大島や大久保がボールを動かせるようになり、巨大な渦となってセレッソを苦しめた。単純な突破力だけが彼の魅力ではない。連係で崩せるアドバンテージがあり、わずかな時間で可能性を示している。ケガからの復帰直後で新入団であることも考慮すると、これからどこまで調子が上がっていくか。

 この日は欠場したMF中村憲剛(37)も、川崎Fのプレーを司(つかさど)り、代表に入ってもおかしくはないだろう。風間監督時代ほどの輝きはないが、日本最高のボールプレーヤーのひとり。一本のパスで、ゴールを創り出す。トップ下としての創造性は、香川真司などと比べても遜色はない。

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