福田正博、ハリル解任に「W杯後はフィジカルの弱さを知る新監督を」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 アジア予選レベルでは、フィジカルや体力の差が表れる場面が少ない。また、強化試合で対戦する強豪国は、試合終盤に圧力を弱める傾向があるうえに、交代枠も公式戦の3人ではなく6人まで設けられていることで、「終盤のガス欠問題」が露呈しづらい。

 過去にハンス・オフトやフィリップ・トルシエが日本代表を率いたときには、国内でプレーする選手が多数を占め、国内合宿を多く組むことができた。そのため、日本人選手を十分に理解して対策を練る時間があった。

 しかし、ジーコ体制に移った頃から海外でプレーする選手が増え、今では日本代表の主力選手のほとんどが欧州のクラブに所属しているため、代表選手が集まれるのは年間で数日しかない。

 Jリーグのあるクラブを指揮する外国人監督は、「日本人を理解するのに1年かかった」と話していた。毎日のように選手たちと顔を突き合わせても1年かかるのに、活動期間が制限される代表監督となればさらに時間が必要になる。これでは、代表監督就任まで日本に馴染みのなかった外国人監督が、日本人の国民性を含めて、日本サッカーの特徴をつかむのに時間がかかるのは当たり前のことである。

 つまり、日本代表の強化は4年周期では何も変わらないということだ。フォーメーションや戦術を変更しようとも、本質的な課題に取り組まない限りは日本サッカーの成長につながらない。

 日本代表のフィジカルの弱さとパワー不足、それにともなう体力消耗の問題はこれからもついて回る。しかし、フランス代表のように体格に恵まれて技術も高いチームが必ず勝つわけではないのがサッカーだ。だからこそ、日本サッカーが置かれている問題をきちんと把握し、日本人の特性を生かしたサッカーを構築できる監督が、日本サッカー界には必要だ。

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