福田正博、ハリル解任に「W杯後はフィジカルの弱さを知る新監督を」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 そして前回ブラジルW杯ブラジル大会では、アルベルト・ザッケローニ氏がパスを細かくつなぐ"ポゼッションスタイル"を構築し、日本人のよさであるチームワークと規律を生かすサッカーが構築されたように思えた。

 しかし、W杯で結果が出なかったことで、日本サッカー協会は「時代の潮流は、ポゼッションではなく縦に速いスタイルにある」と判断。ブラジルW杯後はそのスタイルを得意とするハリルホジッチ前監督にチームを託したのだ。

 こうして4年ごとに大幅な軌道修正がなされるなかで、日本代表が世界の強豪国に追いつくための"本当の課題"が後回しにされてしまったと感じる。その課題とは、「試合終盤20分間でのガス欠」への対応だ。

 ドイツW杯では、初戦のオーストラリア戦で先制点を奪いながら、後半39分、44分、ロスタイム2分に立て続けにゴールを奪われて逆転負け。南アフリカW杯は本大会直前で自陣を固める堅守速攻に切り替えたことが奏功したが、ポゼッションサッカーで押し切ろうとしたブラジルW杯は、初戦のコートジボワール戦で先制点を守りきれずに後半に2失点。第3戦のコロンビア戦も、1-1の同点で迎えた終盤に3失点して1-4で敗れた。

 ドイツW杯後、ジーコ元監督は「日本人には身長が足りなかった」と分析し、それから12年後のハリルホジッチ前監督も「フィジカルが足りない」と常に嘆いていた。フィジカルの差が、試合終盤での体力の差に表れることは明らかだが、日本人の体格がわずか数年で世界基準に達するわけでもない。

 そのため、外国人監督を招聘する際には、「フィジカルのハンデを埋める対策を、フィジカル以外の部分で講じてくれること」を前提とすべきだ。その監督が日本での指導経験があれば少しはその点に理解があるかもしれないが、そうでない場合は、サッカー協会がオファーするときにしっかりと説明しなければいけない。日本代表の弱点を理解しないまま、試合を重ねていってしまうリスクが高くなるからだ。

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