昨季を思えば贅沢な悩み。清水エスパルス、好調でも得点力不足を嘆く (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 だが、その一方で、いかに得点を取るかに関して言えば、そのパターンは限られているというのが現状だ。

 4-2で勝利した第2節のヴィッセル神戸戦、3-1で勝利した第3節のコンサドーレ札幌戦を除くと、清水は4試合で1点しか取れていない。今季チーム最多の3ゴールを挙げているMF金子翔太が語る。

「神戸戦や札幌戦のようにショートカウンターがハマれば点を取れるが、ボールを持ったときに(相手の守備を)崩すバリエーションが足りない。誰かが仕掛けるとか、はがすとか、無理をするシーンがないと得点は入らない」

 残留争いを免れるだけでなく、そこからさらに上位をうかがうためには、ショートカウンター頼みからの脱却が不可欠。失点は1試合平均1点を下回っているだけに、どれだけ得点を増やせるかが上位進出のカギとなるだろう。

 とはいえ、清水は若い。

 静岡ダービーでのスタメンの平均年齢を比べると、磐田の28.64歳に対して、清水は25.36歳。日本人選手だけに限れば、24.28歳である。今季から新たにヨソンソン監督が指揮を執っていることも含め、チームはまだまだ成長途上にある。

 あたかも経験の違いを見せつけられるように、磐田の老獪(ろうかい)な戦いぶりに次第に押し込まれていってしまったが、物足りなさは伸びしろと表裏一体。金子は、「(膠着した試合では)何かひとつ"スパイス"がないと点は取れない。自分も違いを作れる選手になりたい」と、力を込めて話す。

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