セレッソ、ようやくサクラサク。勝てなかった「優勝候補」の遅い始動 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 この夜、セレッソはマテイ・ヨニッチが激しい守備を見せ、主導権を握った。ただし肝心の得点が生まれない。プレー判断が少しずつ遅れ、仕留めきれず、終盤はむしろ、湘南にペースを奪われかけていた。

 そこで輝いたのが、76分に投入されたFW杉本だった。自陣深くから蹴り込まれたボールに対し、右サイドに流れながら受けると、マークしてきたディフェンスと入れ替わり、左足でファーサイドにねじ込んだ。交代出場直後は体が重そうだったが、形に持ち込んだときの決定力は出色だった。

「チームがほしいときにゴールをできるのが、一番気持ちがいい。これから連戦を戦ううえで、いいスタートを切れた」(C大阪・杉本)

 決して、盤石の勝利ではなかっただろう。清武弘嗣のような一瞬で好機を作り出せる選手の離脱は、当然のように響いている。しかし、連戦を戦うには、ケガ人を惜しんでいるわけにはいかない。今シーズンの新戦力が多くピッチに立って勝利した点は、今後、セレッソが実力を出し切るためのプラスになるだろう。

「健勇をどこで投入するか、は悩んだ。戦力となる人数がたくさんいないなか、全員が稼動できるか。(今後の連戦を考えると)誰が出ようが勝利に貢献できるようにしたい」(ユン・ジョンファン監督)

 ユン監督が作り上げたチームの戦闘力は高い。

「とにかく勝ててよかった」

 セレッソの選手たちはほっと安堵していた。このあと、まずは4月3日、アジアチャンピオンズリーグ第5節で、決勝トーナメント進出をかけて済州ユナイテッド(韓国)と対戦する。総力戦を前に、通りの夜桜が咲き誇っていた。

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