セレッソ、ようやくサクラサク。勝てなかった「優勝候補」の遅い始動 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 そして、杉本の代役としてプレーしたヤン・ドンヒョンも"らしさ"を見せている。前半13分、GKの蹴ったキックを高さで競り合うと、ボールがもつれ、それを拾ったMF水沼宏太が巧妙にドリブルで前に運ぶ。1人を引きつけたあと、脇を走るドンヒョンに短いパス。フリーで受けたドンヒョンは左足で豪快に蹴り込んだ。

「今日は入れる自信があった」(C大阪・ドンヒョン)

 総力戦で挑むなか、今シーズン入団した韓国人FWが初ゴールを決めたことも追い風になるだろう。

 しかし、湘南もしぶとさを見せる。守備からのカウンターを狙い、パスをつなぐ練度の高さを示し、強気を崩さない。そして36分、左サイドからボールを持ち運ぶと、逆サイドまで展開。岡本拓也が左足で鋭く合わせ、ファーサイドに流し込んだ。

「セレッソの嫌がることを2週間で準備してきました。セカンドボールを奪う力、奪い返してゴールにいく力。まずは蓋をし、フィニッシュにいくところで......」(湘南/チョウ・キジュ監督)

 セレッソはあっけなく振り出しに戻された。その甘さが、これまで勝ち切れなかった理由のひとつとも言える。受け身に立ってしまうのだ。

 しかし、後半は再びプレー強度を高めている。ラインを高くし、前線からしつこくボールを追う。出どころを潰し、球際の戦いに勝ち、セカンドを拾い続け、そして波のような攻撃を繰り返した。セレッソらしさが蘇った。

「いい時のセレッソは、センターバックがガシャンと前で(相手FWと)勝負し、ラインを上げている。それが悪いときは引いてしまう。裏をやられる(のが怖い)、というのはわかるけど、それだと(奪っても)前にいけなくなる」(C大阪・水沼)

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