スタジアム近所の子供が守護神に。曽ヶ端準とアントラーズの幸せな歩み (3ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

――2001年にレギュラーを獲得し、そこからリーグ優勝は3連覇を含む5回、ナビスコカップが4回、天皇杯3回。個人では出場500試合達成、連続フルタイム出場試合数244試合を達成するなど、Jリーグの歴史に名を残すゴールキーパーになりました。

「昔は試合に出たら、自分がいいプレーをしなくちゃいけないと思っていました。だから、チームが3点取っても1失点したら、『あぁ~やられたぁ』と落ち込んでいました。いつもとにかく無失点にしたいというふうに考えていた。

 もちろん、今もゼロにする、無失点で抑えるほうが勝利には近い形ではあるけれど、今、僕が大事にしているのは、『いかに勝ち点3を取るか』ということです。ゴールキーパーに限らず、フィールドの選手も含めてミスはあること。だから、失点しても、気持ちを持ち直せるようになりました」

――キーパーは自分のミスを取り返すのがほとんど不可能ですよね。得点をあげるという意味においては。

「可能性はゼロではないけれど、その通りですね。ゴールキーパーの後ろには守るべきゴールがある。その前に立つプレッシャーは、ゴールキーパーにしかわからないと思います」

――35歳を過ぎれば、身体に変化も生じると思います。今年で39歳になる曽ヶ端さんが、ゴールキーパーとして大事にしていることは? 

「キーパーとしては技術も身体能力も重要です。年齢を重ねれば、昔と同じというわけにもいかない。だけど、それをカバーできる経験もあります。うまくディフェンダーを動かすことでも補える。この仕事の難しさは今も日々感じています」

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