最下位ガンバ、危うし!「守れず、攻められず」も想定内といえるのか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 たとえば2010年、昇格1年目のC大阪は開幕から勝ち星に恵まれなかったが、ワールドカップ中断を挟んだ夏場以降に、それまでの3−4−2−1から4−2−3−1にシステムを変更。乾貴士、家長に加え、香川がドイツに移籍したことでチャンスを掴んだMF清武弘嗣の3人による「3シャドー」が機能し、最終的に3位へと躍進。クラブ史上初のACL出場権を手に入れた。

 そのケースをなぞれば、G大阪にも大いに巻き返しの可能性はあるだろう。今年もワールドカップ中断があることも幸いする。しかし、クルピ監督は現状を「想像していなかった」という。「想定はしていたが、想像以上に悪かった」のであれば、事態はより深刻かもしれない。

 クルピ監督は不振の原因として「中盤のバランスの悪さ」を挙げる。

「井手口が移籍し、今野がケガでいないこともあって、中盤のバランスがまだ取れていない。本来の攻撃力を出せていないのも、中盤のバランスの悪さからきていると思う」

 たしかに川崎Fに簡単にボールを回されたのは、中盤にボール奪取に優れた選手がいないことも原因のひとつだった。その能力に長けたMF井手口陽介やMF今野泰幸がいれば、と嘆くのも無理はない。本来であれば、その穴を若手に埋めてもらいたいはずだが、そうした人材がいない。そこに指揮官の想定外が浮かび上がる。

 G大阪は3月7日にブラジル人MFのマテウス・ジェズスの獲得を発表した。身長187cmの大型ボランチに、「ポスト井手口」の役割を託すのだろう。もっとも、実績のない20歳の選手がチームを劇的に変えることができるのか。そんな疑問も浮かんでくる。

「まだ時間はかかると思うが、必ず立て直さなければいけない」

 指揮官は現状を受け入れ、チームの再建を誓っている。果たして、G大阪に明るい未来は待ち受けているのか。その運命はクルピ監督の手腕にかかっている。

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