最下位ガンバ、危うし!「守れず、攻められず」も想定内といえるのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「正直、これだけガンバらしさの出せない試合が続くとは想像していなかった」

 試合後、レヴィー・クルピ監督も落胆の色を隠しきれない。

 今季からG大阪の指揮を執るこのブラジル人指揮官は、ライバルであるセレッソ大阪を3度も率いた経験を持ち、かつてブラジル代表の監督候補にも挙がった実績十分の名伯楽だ。

 G大阪がクルピ監督を招聘した狙いはよくわかる。2014年に3冠を達成したものの、以降は右肩下がりで成績を落としている。遠藤をはじめ主力の高齢化が進むなか、世代交代の過渡期を迎えており、C大阪時代に香川真司や柿谷曜一朗をブレイクさせた育成手腕を期待してのことだろう。

 U−23チームも備えるG大阪には、将来性豊かなタレントが多数控える。クルピ監督もさっそく若手を積極起用しており、17歳のFW中村敬斗をはじめ、MF福田湧矢やMF市丸瑞希といった20歳前後の選手を川崎F戦でもピッチに立たせている。

 ただ、その確かな慧眼(けいがん)でタレントの発掘に尽力する一方で、チーム作りはほとんど進んでいない印象を受けた。あれだけ縦パスを入れられてしまったのは組織としてボールの取りどころが定まっていないからであり、シュート2本に終わった攻撃も連動性がなく、FWアデミウソンら前線が単独で仕掛けてはつぶされるケースが目立った。どう守るのか。どう攻めるのか。今のG大阪からはその形が見えてこない。

 もっとも指揮官も、現状は若手の起用法を含め、"見極め段階"であることを認めている。

 そもそもクルピ監督は、C大阪時代も実戦をこなしながらチームを作っていくタイプの監督だった。システムや組み合わせを変えながら最適解を探り、チーム力を高めていくスタイルだ。

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