イラ立つ小林悠。王者フロンターレ、油断のドローでACLは崖っぷち (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「チャンスはあったが、もうひと崩しできるところで、(ミドルシュートを)打ってしまったり、最後のところで(パスが)ズレたりした」

 小林がそう語ったように、川崎は流麗なパスワークを随所に発揮したものの、なかなか点差を広げることができなかった。そのうえ、試合終了目前の失点で勝利を逃す、最悪の結末。感情をあらわにすることなく、淡々と口を開く小林の表情に、どうにか押し殺している苛立ちがにじむ。

「その(失点の)前の段階から、戦い方ははっきりしていた。みんなでずっと声を出し、『つなげなければ、裏に蹴っていいよ』と話していたが、ちょっとしたスキというか、油断というか......、それが出ちゃったのかなと思う」

 不甲斐ない試合に、キャプテンの口からは厳しい言葉がこぼれる。

「勝てば(内容やスコアは)何でもよかった。人数は足りていたのに......。スキを見せないとか、勝ちへの貪欲さとかを、チームとしてもう一回考え直さないといけない」

 もちろん、「まだ終わったわけじゃない。反省はしなければいけないが、(気持ちを)切り替えて前を向かなければいけない」(小林)のは、確かである。川崎は依然、自力で決勝トーナメントへ進出(グループ2位以上)する可能性を残している。

 だが、続くACL第4節はわずか1週間後、南半球に乗り込んでのアウェーゲームとなる。その間にはJ1第3節のガンバ大阪戦も控えており、ACLだけに注力できない難しさもある。ショッキングな敗戦を引きずらずに、気持ちを切り替えるのは簡単なことではないだろう。

 勝たなければいけない試合だった。だからこそ、小林は同じ言葉を繰り返した。

「勝てば何でもよかった」

 川崎はあまりに大きな勝ち点2を失った。

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