柏レイソル、こんな勝ち方じゃダメだ。悲願のアジア制覇へ遠い道のり (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 傑志にとっては金星を挙げる絶好機だったものの、実力不足だった。

「(ディエゴ・)フォルランは100%の状態とは言えない。ただ、いいポジションを取ったり、攻撃に絡み、大きな役割をしている」(傑志・チュー・チークウォン監督)

 頼みのフォルランは体が重く見えた。ボールを引き出すタイミングなどは見る者を唸らせるものがあったが、パスは出てこない。そこでフォルラン自身が起点になって、ロングキックで展開してからゴール前に入るが、今度は味方がコントロールミス。打つ手のないフォルランは独力で仕掛けるが、南アフリカワールドカップで得点王に輝いた当時のキレはなく、打開は望めなかった。

 後半に入っても、柏がボールを持つ時間は続いた。連係は多少改善されたが、単純なミスも目立った。

 業を煮やしたベンチは、56分に伊東純也、61分にクリスティアーノという両エースを投入。これで攻撃にリズムが生まれる。とりわけ伊東は右サイドで仕掛け、1対1からマーカーを振り切ってクロスを上げ、ハモン・ロペスのシュートをお膳立て。サイドから揺さぶった。

「サイドでフリーでボールを受け、クロスまではいけると思っていた。自分はゴールに近いところまで入っていかないと」(柏・FW伊東純也)
 
 待望の先制点は66分だった。柏が全体に押し込んだ形になり、左サイド深くまでボールを持ち込んだ亀川諒史が、右足で精度の高いクロスを入れる。タイミングよくファーポストから入った伊東が、これを押し込んだ。クロスが入ったとき、傑志の最終ラインは秩序を欠き、ぽっかりと中央が空いた状態だった。柏は左右の幅を使うことで、中央の守備をたわませていたのだ。

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