ちっとも怖くないぞ、浦和レッズ。
なぜ攻撃にリスクを負えないのか?

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 FW興梠慎三も同様の見解を示す。

「サッカーはリスクをかけて攻撃をしないと点は入らない。今はリスクを負ったパスはあまりないかなと思います。サイドから崩せればそれでもいいけど、うまくいっているわけではない。特にレッズは身長が高い選手があまりいないので、簡単にクロスを上げるだけでは難しい。しっかりと崩さないと、なかなかうまくいかないのかなと思います」

 本来の興梠は、裏への抜け出しやポストプレーで起点となり、2列目との連動からゴールを奪う形を得意とする。昨季もそのスタイルで20ゴールと結果を出した。しかし、今季は開幕2試合連続で不発に終わり、広島戦では1本もシュートを打てなかった。この日は司令塔のMF柏木陽介がケガのため不在だったことも影響しただろうが、興梠のよさが生かされる場面はほとんどなかった。

 そもそも今季は、昨季の得点源だったラファエル・シルバ(→武漢卓爾)が電撃移籍したことで、得点を奪う役割はさらにこのストライカーに求められるだろう。その興梠が機能しなければ、得点機を作り出すのは難しかった。

 アジアの強豪クラブを撃破した昨季のACLでは、堅守を軸に1点を守り切るサッカーだった。しかし、Jリーグでは実力上位チームである以上、ボールを持つ時間が増える。そのなかで、いかにアクションを起こしていくかが、今の浦和には求められる。ただ、リスクマネジメントの意識が強すぎる現状では、なかなか効果的な攻撃を仕掛けられない。

 面白いのは、槙野の見解だ。「追う立場のときのほうが、自分たちらしいサッカーができるかもしれない」。それはつまり、リスクを負わなければいけない状況とならなければ、アクションを起こせないということだろう。

 そんな現状を打破するべく、広島戦の翌日に浦和は新たな外国籍選手(オーストラリア人MFのアンドリュー・ナバウト)の獲得を発表している。もちろん、強力なアタッカーの個の力が勢いをもたらすこともあり得るだろう。しかしその個性も、確かな組織の上に成り立つものだ。根本的な部分を改善できなければ、閉塞感は打ち破れない。

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