ベガルタ仙台の開幕2連勝は「不吉な兆候」か? 昨季との違いを検証 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 確かに、前半の仙台は苦しんだ。石原が決めた唯一の得点にしても、FC東京の長谷川健太監督が「シュートの当たり損ねだったと思う」と語ったように、不規則な回転のかかった一撃でありラッキーな面もあっただろう。

 だが、後半57分に先制して以降の30分あまりの試合運びは、ほぼ危なげなかった。焦りから攻め急ぐFC東京に対し、引いて守るのではなく、高い位置からプレスをかけてボールを奪い、両サイドを広く使って攻撃を仕掛ける。仙台は試合の主導権を完全につかんでいた。

 決勝点をアシストしたMF永戸勝也は言う。

「チームとしてのボールの動かし方、攻撃へのつなぎ方が合ってきた。去年は(戦い方を)試行錯誤しながらだったので耐える(だけの)試合が多かったが、今年は耐えながらも自分たちのやり方を出せている」

 12位に終わった昨季を振り返り、渡邉監督は「いい内容のゲームを勝ち切れないことが多かった」と語る。だからこそ、「攻守に主導権を握って相手を圧倒するのが理想だが」と前置きしたうえで、「自分たちがやりたいことをやるだけでなく、相手のよさを消すのもサッカー」と言い、苦しんだ末の連勝に手ごたえを口にした。

「1、2節はいいゲームだった」

 最後にもうひとつ、昨季との違い、というより、昨季までとの違いを付け加えれば、仙台がFC東京に味の素スタジアムで勝利したのは初めてのこと。長年続いた負の歴史に終止符を打つ、歴史的勝ち点3だったのだ。

 どうやら、吉兆の開幕2連勝である。

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