超攻撃的マリノスはウナイ・エメリ流。「負けて学ぶところもある」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

「(後半は)自分たちがトーンダウンし、体力の問題もあった」(横浜FM・DF松原健)

 横浜FMは攻めることに頭と脚を使っている。だが、わずかだが動きが落ち、判断が遅れ、技術的ミスがカウンターの呼び水となった。能動的サッカーをするチームの難しさが出た。75分にもミロシュ・デゲネクが伊東にパスをカットされ、そのままゴール前に入られて、最後は大谷のシュートがオウンゴールになった。

 横浜FMはその後、交代カードを切ったが、精彩を欠き、2-0で敗れた。

 ポゼッションで相手を圧倒するには、高い得点力が条件になる。例えば欧州を席巻するマンチェスター・シティは、レロイ・ザネ、ラヒーム・スターリングという、個人でも集団でも相手を切り崩し、ゴールまで行ける絶対的サイドアタッカーを擁する。両脇から万力で押しつぶせるような選手が必要なのだ。そしてその駒がない場合、連係で完全にサイドを崩し、中での選択肢を増やす必要がある。

 その点、横浜FMには崩しきれるアタッカーはいなかった。実際、主導権を握っていた前半も、決定機と言えるシーンはないに等しい。クロスは質が高かったが、中の選択肢はウーゴ・ヴィエイラにピンポイントで合わせるしかなかったのだ。

 それでも横浜FMはボールを保持し、勇敢に攻めていた。その気概は選手の成長を促すだろう。失敗を恐れなくていいからだ。事実、右サイドに入った遠藤渓太は、昨シーズンまでDFと対峙すると弱気が見えたが、柏戦では気後れしておらず、目覚ましい進化を遂げつつある。

「今は新しいチャレンジをしているところ。結果にこだわらないといけないが、負けて学ぶところもある。焦らずに......」(横浜FM・MF天野純)

 待っているのは"吉"か"凶"か――。F・マリノスは帆を高く上げ、船出した。

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