これならもうJ2に落ちない。湘南ベルマーレがJ王者に見せた新境地 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 3月2日に行なわれたJ1第2節、川崎フロンターレ戦。J1に復帰したばかりの挑戦者は、昨季チャンピオンと開幕早々、しかもアウェーで対戦することになった。だが、湘南は、もはや愚直に自分たちらしさをぶつけるだけのチームではなかった。曺監督が語る。

「(J1で戦った)2年前に比べ、矛(ほこ)と盾がしっかり出せるようになった。ただ前に速いとか、勢いがあるだけでなく、相手の時間帯になったときには盾を使うことが、昨年から少しずつできるようになってきた」

 この試合、湘南は川崎の巧みなパスワークに後手を踏み、どうにかボールを奪っても攻撃に転じることができない。そんな自陣で耐えるだけの時間が少なくなかった。

 しかし、「相手のリズムになったときも、ラインがズルズル下がらず、コンパクトに守備ができた」と語るキャプテンのFW菊地俊介は、こう続ける。

「内容がよくても結果が出ないのがJ1だが、(J1で戦っていた)2015、2016年のときよりも、結果にこだわっている自分たちがいる」

 その結果が、川崎に先制を許しながらも、同点に追いついての1-1の引き分けである。

同点ゴールを決めた新人の松田天馬。photo by Sano Miki同点ゴールを決めた新人の松田天馬。photo by Sano Miki 貴重な同点ゴールを決めたルーキーのFW松田天馬(鹿屋体育大→)も、自身のプロ入り初ゴールについては「あまり実感がない」と初々しさを漂わせながらも、「勝ち点3を獲りにいったので、勝ち点1では満足できない。次は勝ち点3を獲りたい」とキッパリ。昨季J1王者相手の善戦にも、納得の様子は見せなかった。

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