あの「つま先ゴール」から16年。鈴木隆行が分析するハリルJとW杯 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

――ずばり、ロシアW杯の展望を聞かせてください。

「グループリーグで3勝する可能性もあれば、3敗の可能性もある。それだけ実力的には拮抗していると捉えています。日本のレベルも急速に上がりましたが、他の国のレベルも上がっている。これが現実だと思いますね。勢いに乗れればグループリーグを突破できると思いますが、それだけに初戦の入り方がカギになります」

――今大会で注目しているストライカーはいますか?

「ポーランドの(ロベルト・)レバンドフスキですね。突破もできて、ポストプレー、決定力、サイドに流れる動きもある。本当にすべてを兼ね備えたプレーヤーですし、総合力の高さは現役選手の中でも屈指でしょう。FWとしてプレーしていた身としては、『羨ましい』と思うくらい。日本は彼がいるポーランドと(グループリーグの3戦目で)対戦しますが、果たして彼をチームで止めることができるのか。それも含めて、レバンドフスキには注目しています」

――日本代表でサプライズを起こす可能性がある選手を教えてください。

「ポルティモネンセSCの中島翔哉選手ですね。ロシア大会でもジョーカーになり得ると見ています。最も注目しているポイントは突破力ですが、シュートの技術も高い。ポルトガルリーグで結果を残していますし、面白い存在です。あのプレーのキレは、海外の強豪国相手でも個人で局面を打開できるレベルかと」

――FWの選手では?

「やはり岡崎慎司には期待してしまいます。プレミアリーグの舞台で結果を出していることが一番大きい。それに、あの泥臭いプレーは相手が嫌がることは間違いない。自分も『泥臭さ』を信条にしていましたが、彼は僕よりもはるかに高い得点能力がある。経験値も高いので、ロシアで観たい選手です」

――ロシアW杯以降も、日本代表がさらに上を目指すために必要なことは?

「経験値だと思います。努力はしていますが、日本のサッカーの歴史は浅く、ヨーロッパや南米のトップとは差がある。今の若い選手たちの技術レベルは非常に上がっていますから、その差は縮まってきたと思うんですけどね。

 だから、代表クラスの選手や若手で力がある選手はどんどん海外リーグに挑戦してほしい。うまくいかなくても、長い目で見ればその経験は必ず選手としてプラスになります。若いときに世界のスタンダードを肌で感じること。これがないと、なかなか世界と戦うメンタルや意識の部分は埋まらない。技術や戦術の部分ではなく、そういった意識の部分を若い時に変化させていくことが、強化に繋がるのではないかと思っています」

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取材協力・清瀬VALIANT

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