引退した鈴木隆行が、指導者キャリアを
町クラブの子供から始めるわけ

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

――鈴木さんはW杯、CL、アメリカなど様々な舞台でプレーしてきました。指導者として、この経験がどう生かせると考えていますか?

「自分は本当に下手くそで、プロ入り後も6年間はほとんど試合に出られなかった。一線級の指導者の方って、やはり選手としてもエリートの方が多いと思うんです。個人的には、選手目線で接することができるという点から、指導者は選手経験者がいいと考えています。その中でも僕は、選手としてうまくいってない時期がほとんどで、苦しい経験を積んできたという自負がある。だからこそ、悩んでいる選手に同じような視点で接することができる。こういう考えは、実はとても大切だと思っています」

――指導者として目指すサッカー像は固まってきましたか?

「そうですね、7割くらいは。今はそれをどのように落とし込んで、どういう伝え方をしていくのがいいか、模索しています」

――具体的なイメージは?

「しっかり守って、速い攻めができるチーム。そして、確率が高い攻撃をするチームを作り上げたいと思っています。今はデータを取ったり、細かい分析をしたりといったことが簡単にできるので、選手に納得してもらうことが昔より簡単になっている。僕の現役時代は、あまりそういう概念がなくて、"なんとなく"の部分もけっこうあったんですが(笑)」

――選手として影響を受けた監督はいますか?

「ひとり挙げるなら(フィリップ・)トルシエですね。フラット3の導入や守備戦術を含め、あれだけ論理的に話せる監督はトルシエが初めてでしから。シミュレーションや、分析にも長けた監督でしたね」

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