「大型移籍」は1チームだけ。J1強豪クラブの補強を福田正博が斬る (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 川崎に土壇場で逆転リーグ優勝を許した鹿島アントラーズも、目ぼしい新戦力の加入といえばCBの犬飼智也(←清水)と内田篤人(←ウニオン・ベルリン)くらいだが、鹿島の場合は浦和とは事情が異なる。

 鹿島は昨シーズン、リーグ戦とACLの2冠を狙って大きな補強をした。その選手たちの中で、MF三竿雄斗やFWレアンドロは活躍したものの、GKクォン・スンテ、MFレオ・シルバ、FWペドロ・ジュニオールなどは思うように実力を発揮できなかった。そのため、今シーズンは「彼らが本来の実力を発揮することが最大の補強になる」と考えているようだ。

 もともと選手層が薄いと言われてきたCBにピンポイントで犬飼を加えた。内田の復帰という話題性も十分ある今シーズンに、鹿島が昨年の補強を結実させる可能性は高い。

 昨シーズン2冠のセレッソ大阪は、下部組織もしっかりしている上に、ポイントごとの補強も明確だ。浦和から獲得した高木は、ユン・ジョンファン監督のサッカーにフィットすると予想している。

 清水時代の彼は若かったこともあって、何でもかんでもシュートを打って、攻撃の流れを分断させて、味方の動きを止めてしまうプレーが目立った。だが、浦和ではそういった部分が減り、前に出ていくスプリントや思い切りのよさ、シュート力などの特長を生かせるようになった。移籍でさらにステップアップしてくれると期待している。

 昨年は、正直なところセレッソがルヴァンカップと天皇杯で優勝するとは思っていなかったが、ユン監督がしっかりと手綱を握ったことで、タイトルにつながった。チームから"甘さ"がなくなっているセレッソ大阪が、優勝候補に挙げられているシーズンでどこまでやれるのか、とても楽しみにしている。

 柏レイソルは、派手さはないものの堅実な補強をした印象がある。U-18からも選手を昇格させているが、J2に降格したアルビレックス新潟からFW山崎亮平とMF小泉慶を、大宮アルディージャからMF江坂任とFW瀬川祐輔を獲得した。ACLとリーグ戦の両方を戦う長いシーズンで、コンスタントに力を発揮できるのではないか。話題性という面では物足りないが、柏というクラブ規模を考えた場合には十分に合格点だ。

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