「大型移籍」は1チームだけ。J1強豪クラブの補強を福田正博が斬る (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 裏を返せば、その程度しか資金力がない浦和がACLを制したことをもっと高く評価すべきなのだろう。JリーグはDAZNの参入によって以前よりは資金が潤沢になったように思われているものの、中国リーグとは資金力で大きな差をつけられていることを忘れてはならない。Jリーグのブランドイメージを高めていくためには、まずはJリーグ全体がもっと集客できるよう努力していくことが必要だ。

 浦和に関していえば、昨シーズンのリーグ7位という現実をどう捉えるかだ。守りを固めたカウンターに徹してACLは制したが、そのスタイルを今シーズンのJリーグでも継続して上位を目指せるかといったら疑問が残る。

 また、昨年まで「シーズンの目標は優勝」と言っていたクラブが、急に「今年はACL圏内の3位以内でOK」という訳にはいかない。そう考えると、ACLを戦わない今シーズンはリーグ優勝こそが目標になるはずだが、それを実現できるほどの補強をしたとは言い難い。

 主力選手は残っているし、湘南ベルマーレから復帰した山田直輝、マルティノス(←横浜FM)や武富孝介(←柏)、岩波拓也(←神戸)を獲った。しかし一方で、駒井善成(→札幌)、高木俊幸(→C大阪)、梅崎司(→湘南)などが他チームに移籍し、前述のラファエル・シルバの移籍も考えると、結果的には昨年の戦力とプラス・マイナスゼロ、あるいはマイナスという印象は拭えない。

 現時点の戦力でも、ACL圏内は見えるかもしれないが、優勝するところはあまり想像ができない。うまく流れに乗れなければリーグ中位、降格争いに巻き込まれることもあり得る。それくらい、戦力の上積みがされていないように思う。

 クラブOBとしてチームを率いる堀孝史監督のためにも、圧倒的な力がある選手を夏に獲得するなどして、全面的にバックアップしてもらいたい。また、昨シーズンは収益が増えたにもかかわらず、平均入場者が3000人減った問題に正面から向き合って、サポーターがスタジアムに戻りたくなるチームを作ってくれることを願っている。

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