久保建英だけが開幕戦のトピックでいいのか。FC東京、不安な幕開け

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 新たなシーズンのスタートとあって、開幕戦にはいつもと違う特別感が漂うが、現実的に考えれば、それぞれのチームにとって34試合のうちのひとつにすぎない。開幕戦の結果や内容が、特別な意味を持つわけでないのは確かだ。

 しかし、開幕戦とは、いわば「所信表明」のようなもの。これから長いシーズンに臨むチームが、どんなサッカーを目指し、どんな姿勢で戦おうとしているのかを表明する場だと言える。そこでどんなものが示されるかによって、期待も膨らめば、不安も高まる。

 2018年シーズンのJ1開幕戦。FC東京は浦和レッズをホームに迎え、1-1で引き分けた。

 FC東京は昨季、大型補強を敢行し、開幕前には優勝候補に推されながら、結果は期待を大きく裏切る13位。ガンバ大阪で三冠達成の実績を持つ長谷川健太監督を新たに迎えた今季は、名誉挽回を図るシーズンとなるが、初陣である開幕戦はやや不安の残る結果、そして内容に終わった。

 試合は概ね、浦和がボールを保持して攻撃し、東京が守るという展開で進んだ。

 もちろん、守る時間が長くなったこと自体に大きな問題はない。守りを固めたうえで狙いどおりにボールを奪い取り、効果的なカウンターにつなげる。そんな内容の試合も十分にありうるからだ。

 しかし、この試合の東京は違った。DF森重真人が「キャンプからやってきたように、みんなが守備意識を高く持って(守備を)やれたが、ボールを奪ったあとにミスが出てしまうところは課題」と振り返ったように、せっかくボールを奪っても、攻撃に転じることができず、結果的に守備に追われてしまったのだ。

 長谷川監督もまた、守備については「組織を崩さず(浦和の攻撃に)対応できた」と手応えを口にしながらも、攻撃力を課題に挙げていた。

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