「かつての広島」はもういない。ミシャ率いる札幌に勝っても前途多難 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

"かつての広島"はもういない。"かつての広島"らしかったのは、むしろ札幌のほうだったのだ。ペトロヴィッチ監督の目に、今の広島の姿は果たしてどのように映っただろうか。

「希望はありますよ」

 それでも、青山は前を向く。

「フロントも変わったし、監督も代わった。船を乗り換えたようなものだからね。新しい選手もたくさん入ったし、もう広島じゃないというくらい。でも、しっかりと合わせていけば、もうちょっといいサッカーができるようになると思う。それには時間が必要だし、やることもたくさんある。だから今はこんなもんじゃないですかね。とにかく、勝てばね。試合をやりながら、積み上げられていけばいい」

"かつての広島"はもういない。新たなチームへと生まれ変わったのだ。船を乗り換え、新たに船出を切った広島の航海は、決して順風満帆とはならないだろう。昨季のような苦境も、ふたたび待ち受けるかもしれない。

 それでも、たとえ大しけのなかでも、船は港を離れたのだ。目的地に向かって、前に進むほかない。

「どんなサッカーでも、勝ちますよ!」

 青山は吹っ切れた表情で、そう言った。決して自嘲しているわけではない。"かつての広島"を知る闘将の、覚悟の言葉だった。

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