ジュビロの黄金期を再び。山田大記を
感動させた中村俊輔のアドバイス

  • 望月文夫●取材・文 text&photo by Mochizuki Fumio

 そうして、開幕が10日後に迫った磐田での練習後、指揮官は「2列目でも、ボランチでも素晴らしい」と山田のプレーを絶賛した。さらに、練習試合や紅白戦で山田と一緒にプレーすることが多かったFWの小川も、「(山田は)本当にいいボールを出してくれる。自分のことをよく見てくれているので、迷わずに裏のスペースへ走ることもできた」と、山田への絶大な信頼を口にした。

 膨らむ山田への期待。無論、山田もその期待に応えるつもりだ。その思いが募る裏には、以前、先輩・中村から受けた忘れられないアドバイスがある。まだドイツでプレーしていた頃、国内で一緒に食事をする機会を得て「仮に日本に戻ることになったら、どうするか」という話題になったときの話だ。

「自分にとって、ジュビロが特別なクラブだと知っているシュンさんに、こんなアドバイスをもらったんです。『小さい頃から育った選手でなければ、(クラブに)もたらせないものがあるんじゃないか。日本に帰ってくるなら、ジュビロに戻るのが一番だと思う。自分が今までやってきたことを無駄にしないためにも、ジュビロを大事にしたほうがいい』と。

 クラブに思いを寄せる選手がいて、その選手に思いを乗せるサポーターがいる。そういうクラブがある自分は幸せだし、その人たちを大事にすることが、自分のサッカー人生にとっても、絶対にプラスになると思った」

 ジュビロのDNAを受け継ぐ頼もしい男が、いよいよ完全復活を果たすのか。山田の活躍次第で、磐田はあの「黄金期」にまた一歩近づくことができるだろう。

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