レイソル、痛恨のドロー。「町の中華料理屋さん」の豪華シェフに被弾 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 窪田亮●撮影 photo by Kubota Ryo

 この日の柏は相手の高さを警戒し、普段とは異なる4バックを採用。高さのあるDFパク・ジョンスを中央に置き、いつもはセンターバックを務めるDF中山雄太を左サイドバックに起用した。

 そのため、必然的に攻撃はFW伊東純也とDF小池龍太が組む右サイドに偏ったが、そのエリアをやすやすと攻略すると、27分には小池のクロスを合わせにいったMF江坂任が顔を蹴られてPKを獲得。このチャンスはFWクリスティアーノが逃したものの、終始相手を押し込んだ柏がゴールを奪うのは時間の問題だった。

 対する天津権健は、ヴィツェルこそ中盤の底で質の高いプレーを見せていたが、センターフォワードを務めるモデストの動きにキレはなく、前半途中からピッチに立ったパトも身体が重そうに映った。とりわけ守備時における動きが緩慢で、"アリバイ作り"のようなプレスをかけには来るのだが、まるでプレッシャーにはならず、この対応が柏のビルドアップを大いに楽にしてくれた。

「相手は守備が組織的ではなかったし、人にも食いつくのでスペースはあった」

 キャプテンのMF大谷秀和が指摘したように、最終ラインから楽にボールを回せた柏は、トップ下を務めた江坂がうまくボールを引き出し、リズムを作っていく。

 52分に生まれた先制点の場面も、巧みなパス回しで相手を動かすと、中山からのくさびを受けた江坂がドリブルで持ち上がり、右サイドを駆け上がった小池に絶妙なスルーパスを通す。小池からの折り返しをクリスティアーノが豪快に叩き込んだ一連の流れは、まるで練習でも見ているかのような見事なものだった。

 その後も柏は多くのチャンスを作り、次々に決定機を迎える。追加点こそなかなか奪えなかったものの、個の力を組織力で完全に凌駕した展開を見るかぎり、柏に不安要素はないと思われた。

 ところが、終了間際に落とし穴が待ち受けていた。長い縦パスに反応したモデストにディフェンダーが置き去りにされると、一度はGK中村航輔のセーブでピンチをしのいだかに思われたが、こぼれ球に反応したパトに同点ゴールを奪われてしまう。

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