永井秀樹の育成。「天才といわれ、3年後に消える選手にしたくない」 (7ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 前半開始早々にあり得ない失敗をして、試合が終わったあと、篤輝本人に確認したら『頭の中が真っ白になりました』と言っていた(笑)。でも、最悪な状況からスタートしたにもかかわらず、同じ1年生の理仁が同点ゴールを決めてくれて、気持ちが楽になったのかもしれない。

 仲間の助けで、そこから見違えるように成長した。『これこそが育成』ということを改めて感じた。ちょっとしたきっかけで気持ちにスイッチが入ったり、自信が持てたりして(選手は)大きく成長できる。(この試合では)それを実感できたのが、自分にとっては一番の収穫だった」

 佐藤は『運』を自ら『動』かした。新シーズンでは一躍、新3年生とともに正GK争いをすることになりそうだ。

 試合は後半、ヴェルディユースも何度かチャンスを作ったものの、得点を奪うまでには至らなかった。結局、1-1のまま終了した。

 2017プリンスリーグ関東、ヴェルディユースは7勝4分7敗。10チーム中、6位という成績で終えた。

 試合後、永井は選手全員をクラブハウス内にあるトレーニングルームに集めて、最後のミーティングを開いた。

 1年生代表と2年生代表が3年生に言葉を送る。続いて、3年生全員がユースで過ごした日々を振り返るとともに、後輩たちにエールを送った。

 涙を流す3年生。永井はその様子を見たとき、「試合の勝ち負け以上に大切なこともある」と改めて思った。

(つづく)

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